私は、プログラマーとして就職後、特定業種の業務システムを担当するフィールドSEとして仕事をしてきました。
こちらの記事では、プログラマーからフィールドSEへ異動になった際の心境、フィールドSEの仕事がどのようなものなのかを体験談としてまとめています。
フィールドSEを目指す方、フィールドSEにこれから就く方の参考になればよいなと思っています。
新卒時はIT業界で就職活動・プログラマー志望
私は、新卒時の就職先をIT業界に絞り、プログラマーを志望していました。
就職先をIT業界に決めた経緯などは過去の記事にまとめています。
プログラマーとして入社
無事、ソフトウェア開発会社に採用され、新人研修後は、プログラマーとして実務を開始しました。
SEが書いた設計書を見ながら、プログラミングをしていくという作業です。
最初は先輩社員に教えてもらいつつ、数か月ほどたつと完全に任され、レビューだけしてもらうような形になりました。だいたいのプログラマーが通る過程だと思います。
この頃は、プログラムが日々分かるようになり、思い通り書けるようになっていくことが楽しく、毎朝会社近くのカフェで1時間ほど勉強していました。
やる気に満ちておりましたね。
この頃は残業も1日1時間程度で済んでおり、仕事や会社に対する不満は全くといっていいほどなく、会社の人間関係もとても良好で休日には先輩社員や課長とも一緒にバスケをしに行ったりなどもしており、よい会社に入れたなと満足していました。
異動辞令・フィールドSEに転身
プログラマーとして活動すること1年弱ほど、上司にちょっと…と呼び出されました。
上司「人員が不足している現場があるので…転勤してれないか。」
私 「えっ…てんきん…?現場?ですか?」
わけがわかっていませんでしたが、興味本位で引き受けることにしました。
辞令なので断る選択肢はなかったようでしたが。。
ということで、入社1年目の終わりごろに転勤となりました。
当時は実家暮らしでしたが、引越して一人暮らしになりました。
転勤先での業務がフィールドSE(システムエンジニア)というものでした。
フィールドSEの仕事・やりがいとは
プログラマー時代は、事務所でプログラムを書いたりテストしたりの作業がメインでした。
フィールドSEは、お客様先で導入されているシステムのメンテナンスや、新しいシステムの導入などを行うことがメインの仕事になります。(物理的な機器などの保守・メンテナンス等は、私の場合は行っていませんでした。)
フィールドSEでも作業のために必要なバッチプログラムなどを作成することはありましたが、ソフトウェアを作成する、いわゆるプログラマー的な仕事からはほぼ、離れることになりました。
入社したときはシステム開発などがしたい!と思っていましたが、プログラマーに戻りたい~とはなりませんでした。
フィールドSEの仕事をやってみると、私にはこれが性に合っていたようでした。
システムを導入する際には、お客様の業務に沿ったシステムの動作設定をしなくてはならないのですが、エンドユーザーがどのような業務をしていて、日ごろ困っていることが何かなのかをヒアリングし、システムで実現させていきます。
既存のシステムを導入しなおすような場合は、既存のシステムの使い勝手の確認+困っているポイントを整理して、できるだけ解消できるようにシステムを入れ替えていくことが至上命題になります。
一方、新しくシステムを導入する場合は、お客様の業務の整理から行う必要があったりしますので、これがかなり大変だったりします。お客様の中で、お客様の業務をすべて把握できている方が存在しませんので、いろんな方に聞きまわる必要が出たりすると伝言役にさせられることもしばしば。
こんな業務をしていく中で、エンドユーザーと話をしている時間が絶対的に多くなります。
人との会話がメインで仕事をこなしていく必要があるため、作業時間の見積などはほぼ破綻し、残業も多くなりました。
ですが、たわいない雑談もしますし、そこそこ感情移入もしてきますので、なんとかしてあげたい、と思う気持ちが強くなってきます。
結果的にシステムがうまくハマって稼働できたときは、お客様とフィールドSEともに「やった~!」と一緒に喜べます。これが素直にうれしく、プログラマー時代とは違ったやりがいを感じられるのでした。
(単純にシステム導入がタイヘンなのでやっと終わった~という感情も多いかもしれません…)
システム導入の時だけでなく、保守作業などでウロウロしているときに、廊下でお客さんと雑談しているだけでも、システムをこういう使い方すればこんなことできますよ~と、課題解消のおしゃべりになり、感謝される、というパターンもあります。
プログラマーと違い、フィールドSEは、エンドユーザーと直接やりとりできる立場だったため、直接感謝の言葉をもらえる機会があったのはとてもうれしかったですし、毎日の励みにもなりました。(もちろん怒られることも多々ありましたが。。。)
私が、人がもつ課題に興味があり、人とのおしゃべりは得意な方だったので、性に合ったのだとも思います。
良いお客様とめぐりあえたのも良かったのだと思います。
また、エンドユーザーがどのようなシステムが有難いと思うのか、どのような対応を開発会社に求めているのかが、直接的に実感できたのは、その後の私のキャリアにとっても非常に重要となりました。
この記事を書いている時点で私は、開発SEをしているのですが、開発する上で、フィールドSEのための準備すべきドキュメントやエンドユーザーのいわゆる「かゆいところ」は、フィールドSEであったからこそ分かることが多いのです。
フィールドSEの大変なところ
フィールドSEは、人とのコミュニケーションが多く、感謝をしてもらえるメリットはありますが、良いことばかりではないため、人間関係のストレス耐性は必須となります。
いつも機嫌の良いお客様が今日はイライラしていて理不尽なクレームを言われたり、お客様同士の仲が悪く、仲をとりもつような立ち回りをさせられるときもあります。
こういったことに、いちいち反応せず冷静に対処し、仕事が終わったら引きずらないメンタルを持っていたほうがよいです。私はこの仕事をしながら「反応しない」能力を身につけたタイプでしたので、最初はかなりしんどい思いをしました。
お客様と直接対面して会話するため、「自分の責任で対応をする」という意識も必要になります。そういった意識が明らかにないメンバーはお客様からNG(出入り禁止)が出されることもありました。
現場を歩いて回る体力・気力も必要です。システム稼働直前・直後は、睡眠不足と栄養不足で体調は著しく悪くなり、風邪をひきますが、休めません。自分が風邪をひいてなくても周囲で風邪をひいてゴホゴホ咳をしている人から感染しないように、体力はすでにないため、気力で防御する必要があります。(システムが稼働してしばらくすると、フィールドSEたちの張りつめていた糸が切れて体調不良者が続出します。気力は確実に風邪を防いでいます。笑)
最近は少なくなってきているかもしれませんが、長時間労働も覚悟したほうがよいです。システム稼働日の延伸はまずないため、作業が遅延していれば残業で対応をしていました。1か月の労働時間が300時間を超えることが、1年間続いたこともありました。(さすがに心が疲れきっていました。。)
作業が遅延する原因がお客様であっても、どんなに理不尽なことでも臨機応変な対応が必要になることもあり、苦労が絶えません。私は、学生時代は、理不尽には正面から反発するタイプでしたが、フィールドSEになってから受け流す能力が身に着きました。お客様とケンカして良いことはひとつもありませんので。。私以外の新人たちも自然と身につけているようでした。
このような仕事でしたので、急激に成長できるのがフィールドSEでもありました。
私も、最初の1年は、武者修行だと思って耐えた、という感覚が強かったですね。。
おわりに
IT業界で総合職として会社に入ると、自分が思っていた仕事とは違う業務を担当することもあると思います。
私は、人事異動でフィールドSEを経験することになりましたが、とても良かったと思っています。
過去の仕事を振り返ったりすると、このフィールドSE時代でいろんな人と会話していた場面の記憶が強く思い出されます。それぐらい、自分の仕事の中でも比重が重かった時代だったようです。
フィールドSEは、プロ意識をもつ人間に成長できる仕事です。
私は、プログラマー、フィールドSE、開発SEを経験してきましたが、その中でもフィールドSEの仕事で得られる人間的な経験値は、ずば抜けていました。
その分大変な思いはかなりしましたが、フィールドSEは、やりがいも得られるものも十分にある仕事であることは間違いないでしょう。
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